味のなくならないガムはない
朝目が覚めて昨晩の夕飯を思い出そうとしてもなかなか思い出せないくらい豊かすぎる生活を私たちは送っていて
それでいてなんか物足りなくて
いつになったら満足するのかといえば満足する日なんて訪れるものではなくて
多分みんながそんなことには薄々だとしても気がついているのに
じゃあなんでこんなに欲望に満ちた生活を送っているのかなんてだれも全く解らなくて
でもただただ欲望は増す一方で
やりたいこととやらなきゃいけないことの狭間に立ち続けて
こんなんじゃダメだと気がつくことはあってもそれを継続できるかといえば自信を持ってYesと言えるはずもなくて
自分はダメなやつなんじゃないかと思い続けるしかなくて
たまに、自分だけじゃなくてみんなもそうだから大丈夫って思おうとするわけだけど
それは一時的な解熱剤にしかならなくて
むしろ他人と比べている自分に怒りを覚える副作用も持ち合わせていて
気持ちというものはとてつもなく不安定で
つかみどころのないもので
それでいて信じられないほどに大きな力を持っていて
そのくせ自分の気持ちがなんなのか全くわからなくなって
それはまるで味のなくなったガムを噛み続けている時の気持ちのようで
きっとこの世に味のなくならないガムはない
そんな風に思うんだ